M高史のちょっと給水しませんか【Vol.06】
「M高史のちょっと給水しませんか?」では、現状打破されているランナーさんをご紹介します。
今回は親子マラソンで通算55度の優勝を誇る由利佳朗(よしろう)さん、茉歩乃(まほの)さん親子のお話です。
僕がMCをさせていただく大会では、ランナーさんの受付開始時間よりも約1時間ほど前には会場入りするようにしています。その日のタイムスケジュールなどを確認しながらコーヒーを飲んだり、ユニフォームにゼッケンをつけたりしてランナーさんの到着をお待ちしているのですが、いつも最初に会場にお越しになるのが由利さんファミリーです!
「私がせっかちな性格でして(笑)。何事も時間に遅れるのが嫌で、渋滞で遅れたりとかがないようにと思うと早めに到着してしまうんです」と父の佳朗さんは笑います。先日開催されたリバーサイドマラソン多摩川大会では僕が会場入りした時にはもう到着されていて、驚きました(笑)
会場に到着されると、インスタ映えしそうな写真を撮影されたり、早めにウォーミングアップにも向かいます。親子マラソンでなんと通算55回も優勝を飾り、いまなお記録更新中です!
そんな由利さん親子の快進撃に迫りました!
父・佳朗さんは中学・高校陸上部
まずは父・佳朗さんのお話から。1980年生まれ、埼玉県出身の由利佳朗さん。球技は苦手でしたが長距離走は比較的得意だったこともあって中学から陸上部に。高校は東京都の保善高校へ。高校でも陸上を続けましたが最初はレベルの高さに驚いたそうです。「最初のウォーミングアップで練習が終わりかなと思ったら、そこから本練習が始まるんだ!とカルチャーショックでしたね(笑)」。強豪校のウォーミングアップの速さがが伝わってくるエピソードですね。そこから練習を積み重ねた佳朗さんは3000mSCで都大会にも出場。3年生の時には副キャプテンも務めました。
「青春でした!」という熱い高校3年間を過ごされました。高校卒業後は陸上から離れることに。「教員になりたいなと思っている時期がありました。陸上部の顧問をやりたいなと。その時の思いが今は娘一人に集中していますね(笑)」
親子マラソン出場のきっかけ
2011年生まれの茉歩乃さん。走り始めたきっかけは小学校の持久走でした。
「持久走の練習で5位になったら、お父さんの方が火がつきました(笑)」と茉歩乃さんは笑います。
球技や短距離走は苦手だという茉歩乃さんでしたが「運動は苦手だったのに学年で5番で帰ってきたと聞いて驚きました。当時は何も練習もしていなのに。それじゃ、今度の土日教えるよということで、それがまさに親子マラソンのスタートでしたね」と佳朗さんは気合いを入れて親子で練習にのぞみました。
ところが一番最初は佳朗さんが全然走れなかったそうです。「500mくらいしか走れなかったんです(笑)。約20年サラリーマン生活をしていて、当時はタバコも1日20本くらい吸っていて、体もボロボロでした(汗)。
スポーツショップでウエアとシューズを買って、まずは形から入って逃げられないようにしました」。その後はタバコもスッパリやめて、茉歩乃さんとの親子二人三脚での練習が始まりました。
結果的にその年の持久走大会本番では僅差で2位に。「努力をすれば必ず成果として現れるということを経験してくれて嬉しかったですし、来年は1番を取らせてあげたいと思いました。来年までモチベーションを保つのが難しくて、マラソン大会にも出場するようになりました」と佳朗さん。その後は火がついて毎月出場するようになり、むしろ最近では毎週のように出場されているそうです(笑)
由利さん親子が出場されている親子マラソンですが、大会によって部門、距離などが異なります。共通しているのは親子一緒に走って、並走し、一緒にフィニッシュに戻ってくることですね。親子マラソンでは時々、親御さんの方が先行してしまったり、逆にお子さんが泣きながらフィニッシュ地点でついていけなくなった親御さんを待っているといったケースもありますが(笑)。
学年別、高学年・中学年・低学年、男女別などに細かく分かれている大会もあれば、男女だけ分かれていたり、あるいは表彰が男女一緒(男女別じゃない)大会もあるそうで、親子マラソンのカテゴリーは大会や主催者によってかなり変わってきます。時には男子のトップにも勝って、優勝し続ける由利さん親子の現状打破っぷり!熱いですね!
「メダルをもらうと凄く嬉しくて(家に)たくさん飾ってあるのを見るのと嬉しくなります」と笑顔でお話される茉歩乃さん。マラソン大会の帰りは家族で外食をするそうで、普通の家族がテーマパークなどに外出するように、由利家では毎週のようにマラソン大会に出場して、メダルや賞状もどんどん増えていきます!
ちなみに、茉歩乃さんが手に巻いて走っているのはピンクのランニングバフです。苦しい時はバフをお互い繋いで走るのが親子での約束ごとなんだそうです。
「親バカかもしれませんが、茉歩乃はフォームがきれいで、ケガをしないですね。うらやましいですね(笑)向こうは1年1年どんどん成長していきますが、こっちは1年1年老化していくので大変です(笑)」と父・佳朗さんが言えば「お父さんは、走っている時は結構厳しいですけど、走ってない時は優しいです(笑)」と茉歩乃さんも父・佳朗さんのことをよく見ています(笑)
新たな挑戦とこれから
今年で小学5年生となった茉歩乃さんはクラブチーム「バンビーニ陸上クラブ」にも所属することになりました。
これで陸上の公認大会にも出場できるようになりました。「親子マラソンのことを尊重してくれて、来れる時に来てくれればいいというスタンスなので、ありがたいですね。公認のトラックレースは個人種目なので、1人でペース配分ができないといけないんです」と佳朗さん。
長い距離の方が得意という茉歩乃さんですが、トラックでも力を発揮し、1000mで3分15秒94をマーク!埼玉県のU12強化指定選手の標準記録も突破しました。ちなみにこの記録は小学5年生女子の全国ランキングで3位なんだそうです!
新たにトラック種目にも挑戦する茉歩乃さん。5年生女子の日本ランキング1位が現在3分14秒台ということで、全国トップも狙っているそうです!小学生陸上の場合は地域によって800mだったり、1000mだったり、1500mだったりと開催される種目が異なり、一概に全国で何位とは比較しづらいそうですが、やはり目標になりますよね!それでも「親子で楽しくという原点はブレずに」と佳朗さんがお話されるように、茉歩乃さんはいつも楽しそうに走っています。
そんな挑戦を優しく応援してくれるのが佳朗さんの奥様であり、茉歩乃さんの母・真由子さんです。
マラソン大会当日もかなり早くから食事を準備したり、レース中も写真や動画を撮影したり、いつも見守ってらっしゃいます。
「中学や高校でも走り続けたいです」という茉歩乃さん。親子マラソンは小学校までということもあって佳朗さんは「親子としてはあと1年半で数えるくらいしか出られないので、思い出を作りたいですね。将来、茉歩乃が大人になった時に、一緒にホノルルマラソンを走るのが夢です」と夢を描いてらっしゃいます。それも素敵な親子マラソンですよね!
<由利さん親子の給水エピソード>
「父は練習前にビールジョッキを冷凍庫に入れてキンキンに冷やして、シャワーを浴びて一気に給水が恒例です。茉歩乃はジュニアプロテインのマスカット味をジュースのように愛用。練習のたびにビールとプロテインで乾杯しています」
というわけで今回は親子で現状打破し続ける由利佳朗さん、茉歩乃さん親子のお話でした!