「今日も誰かが、走ってる」.03
”ペーサー”という存在。「前へ!」
先日、陸上競技場で行われた、とある記録会を見学させていただきました。
参加ランナーたちはそれぞれの自己ベストを目指して、前だけを見つめて走る参加ランナーと、一際わたしの目を引くペーサーの存在がありました。
それはトラックレースやマラソンでしばしば見かける「ペーサー」。ペーサーは選手と同じスピード、もしくは少し速いスピードで、自らリズムをつくって走らなくてはいけない存在。
全力で走るランナーを、全力で走ってサポートするのが務めである。その記録会でもペーサーが前に後ろに、またランナーとランナーの間に入り、声かけや手招きでランナーを鼓舞しながら、ペースコントロールをしていました。
自分自身も走りながら、ランナーたちをゴールまでサポートし続けていたのです。
自分のベストに向かって必死に走るランナーにとって、ペーサーの背中を夢中で追いかける瞬間は、ツラいけど、きっととても楽しい瞬間だろうなぁ、と感じました。
12月4日に大阪で行われた、陸上長距離の日本選手権でも、「走りで引っ張る」ことの凄さが感じられる一幕がありました。
女子10,000m・新谷仁美選手(積水化学)がこの種目で18年ぶりに日本記録を更新。
このレースではスタートから2,000mまで、チームメイトの佐藤早也伽選手が新谷仁美選手を引っ張り、リズムを作ったそう。
新谷選手は言う。「私のためにリズムを作りますと引き受けてくれた。早也伽ちゃんのおかげで、最初から良いリズムで走れました。一番に感謝を言いたかった」
新谷選手の素晴らしい走りの裏側には、佐藤選手によるペースメイクがあったのです。
これから始まるマラソンシーズンでは、「ペーサー」の存在を見かける機会がたくさんあると思います。
ペーサーが選手に対して「前へ!」と手招きでアクションする場面がグッとくるものがあります。
ぜひ彼らの走りにも注目してみてください。